“豪雪”と聞いて、あなたはどこの地域をイメージしますか。新潟や青森、北海道などを想像した方が多いかもしれません。しかし、意外にも滋賀県に豪雪の世界記録を観測した山があります。標高1137メートルの霊峰、「伊吹山」です。本記事では、伊吹山がもつ驚きの積雪記録とその背景について詳しくお伝え致します。日本海側であるにも関わらず、複雑な条件を満たして世界一の積雪を記録した伊吹山にはどのような秘密があるのでしょうか。

1.11メートルの雪壁!“伊吹山”の世界記録

滋賀県と岐阜県の県境にまたがる「伊吹山」は、有人観測史上1位の世界記録を保有しています。なんと、その積雪量の記録は1182cmです。これは日本記録でもあり、11メートルを優に超える圧巻の記録です。1927年2月14日に観測され、現在もギネス記録を保持しています。滋賀県とはいえ、伊吹山の山頂は、なんと北海道の稚内とほぼ同じ6.1°Cの寒さです。伊吹山がもつ積雪記録の凄まじさにも思わず頷ける数字ですね。

2.なぜ伊吹山は雪深いのか?その謎に迫る

なぜ伊吹山は、東北や北海道、新潟を抑えてギネス記録を誇る豪雪地帯なのでしょうか。その謎を解明します。冬にはアジア大陸の高気圧が日本に迫り、北西から風が吹きます。冷たい風が吹き込み、大量の水蒸気が向かってきます。滋賀県にあるかの有名な琵琶湖からも水蒸気が供給され、冷たい風が琵琶湖の上空を吹き抜けます。その風が吹き抜けた先に伊吹山があるため、雪を降らせる仕組みとなっています。伊吹山の他には周囲に高い山はないため、自然と伊吹山に集中するのです。

3.見どころは雪だけじゃない!伊吹山のルーツ

伊吹山は昔から、地元の人々には神が宿る山として知られ、崇められてきました。山岳信仰とも結びつき、多くの寺が作られました。しかし戦国時代に殆どは焼け落ちてしまい、現在は残ったお寺は麓付近に拠点を構えています。長く濃密な歴史をもつ神秘的な山です。
また、伊吹山は薬草の宝庫としても知られています。この山に植生している維管束植物は、なんと1300種類。そのうち薬用植物は280種類です。医薬品として利用されれるのはもちろん、漢方薬や民間薬として親しまれているものもあります。全国でも珍しい霊峰です。冬は雪をまとい、夏は緑豊かな霊峰、伊吹山に一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

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