
私が独身の頃、近所のコンビニへたばこを買いに行ったときのお話です。すぐ近所なので上下ジャージでサンダルという格好で、いつもの銘柄のたばこを購入し真っすぐ帰路についたのですが、そのとき後ろから「助けてください、ストーカーに追われています。」という声がしたのです。驚いて振り向くとそこには必死で逃げてきた若い女性が恐怖でひきつった顔で私に手を合わせて頼んでいるのです。
彼女が来た方向を見ると黒い服を着た男性がこっちを睨んでいます。私は心の中で「ビッグチャンス!」と思いながらも彼女を心配した素振りで「わかった、すぐ近くだからかくまってあげるよ」と言って彼女と自宅まで急いで歩いて帰りました。
私はどうやって彼女をものにするかをずっと考えながら自宅に彼女を入れました。彼女は「ありがとうございます。本当に怖かったので助かりました。しばらくしたら出ていきますのでご迷惑をかけて申し訳ございません。」ととても礼儀正しくお礼を言ってくれるのでした。
本当はすぐに警察に連絡し彼女を保護してもらえば良かったのですが、私の性の欲望がそれをせずに彼女との二人っきりの時間を楽しむことを選択したのでした。
少し震えているように見えたので彼女に「温かいもので飲むかい?コーヒー?紅茶?」と下心見え見えでサービスしています。彼女が「すみません、それではお言葉に甘えてコーヒーをお願いします。」というのでコーヒーを作りにキッチンへと向かったのです。
インスタントでいいのに、わざわざコーヒーメーカーでじっくり作り彼女のご機嫌を取ろうとしていたのです。その間に彼女は「面白い本をお読みになっているのですね」だとか、「こういう御趣味なのですね」だとか何か部屋でゴソゴソしているようなのです。
しかし私の頭の中はすでに彼女を抱くことしか考えていませんので、そういう気配に気づかず、まだお茶請けを探している馬鹿さ加減です。やっとコーヒーとお菓子の準備が整い「お待たせ」といって部屋に戻ると彼女はもういません。「え、彼女は今出て行って大丈夫なのかな…あのストーカーに捕まらないのかな…」等と呑気なことを考えながら部屋をじっと見ると、引き出しや本棚が乱れています。
もしやと思い、タンス預金の5万円を確認すると見事にやられていました。
チャンスだと思って彼女を抱こうとしていましたが、逆に彼女にカモにされただけでした。
この経験から私は女性といえども見知らぬ人を安易に自宅に入れないこと、困っている人によからぬ自身の欲望を叶えようとしないことを勉強しました。
しかし、もしかしたら、あのストーカー男性と彼女はグルだったのではないでしょうか。いろいろな詐欺があるものです。
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