日本は今、空前のお茶がブーム到来しています。『ジャパンティーフェスティバル2022』では数々の美味しい国産のお茶に人が集まり、商品によっては早い段階で完売し、大変な賑わいをみせていました。本当に美味しいお茶はお店でもネットでも直ぐに完売してしまっていて驚きます。その中でも緑茶は歴史、製法や日本料理に合う旨味成分共に実に奥深く、工程の繊細さに驚かせられます。イベントから見た緑茶の魅力に迫りたいと思います。
ジャパンティーフェスティバル2022 https://teafes.net/jtf2022/jtf2022.html
1.煎茶道の歴史
日本に煎茶が根付いたのは江戸時代初期の黄檗宗(おうばくしゅう)という禅僧の一派の開祖の隠元隆琦が煎茶道を広めたことがきっかけであるとされており、「茶の湯」で侘びを重んじられたのに対し、自由な精神と風流を重んじたと言われています。形式的な茶道に比べて煎茶道は江戸時代らしく非常に自由気まま。カジュアルで日常的なものとして江戸の町民文化へと根付いて行ったようです。まさにその自由気ままさは現代にピッタリとも言えるでしょう。
2. 様々な種類の煎茶
「煎茶」は緑茶の中で最も日常で親しまれている代表的な種類です。摘まれた茶葉に熱を加えて酸化酵素の働きを止め、水分を飛ばして作られた「不発酵茶」を煎茶と呼びます。また「深蒸し茶」は通常の煎茶よりも長時間茶葉を蒸すことでお茶の緑色が濃く出て渋みの少ない甘めなお茶になります。「かぶせ茶」はワラや寒冷紗という布を多い被せ、日光を遮断し育てたお茶を指します。陽の光を浴びないので茶葉の緑色が濃くなり、渋みよりも旨みを多く含むお茶です。「玉露」は1番の新芽が開き始めた頃によしず棚などにコモ、藁、寒冷紗などを多い被せ、20日ほど日光を遮断し、製造することでアミノ酸のテアニンが増えた旨味成分の多いお茶を指します。
3. 碾茶と抹茶と番茶とほうじ茶
「碾茶」(てんちゃ)とは玉露と同じ製法で寒冷紗やよしずで覆い被せて栽培した茶葉を摘んでから高熱で蒸すことで発酵を止め、荒茶となったものを乾燥させて茎や葉脈を除いて旨味を凝縮させたものです。この碾茶を更に茶臼で挽き、数ミクロンという粒子まで粉砕させた苦味のあるものを「抹茶」と言います。番茶とはお茶の新芽が伸びて硬くなったものを詰み、加工したもので十分な陽を浴びているのでカテキンが豊富に含まれ、抗菌作用や体脂肪を下げる効果があると言われます。ほうじ茶は茶葉を報じた茶色いお茶で日常カジュアルに飲まれてきました。
4.煎茶の美味しい淹れ方
それでは、1番多く飲まれている煎茶はどのように淹れたら更に美味しくなるのでしょうか?先ず、ポットに沸騰させてみましょう。一度沸騰させたお湯を70-80度まで冷ましてから、急須に茶葉5gの茶葉を入れ、そこに対して180ccを70-80度のお湯を入れます。湯の温度を覚ます方法として温度計を用いるのも1つの手ですが、いつものお風呂よりも多少熱いと感じるくらいまでお湯を湯呑みや湯冷しに何度も移し直すことで空気に触れさせて温度を落とすことは同時に茶器も温めるのでおすすめな方法です。そして、少し温度が落ちたお湯を急須に注ぎ入れて湯呑みに最後の1滴まで注ぎましょう。2煎目は80度、3煎目は90度と温度を変えると美味しく味わえます。冷まさずに熱湯を注ぐと苦味だけになり、緑茶の旨味や甘味が逃げてしまうので注意しましょう。
5. 静岡県の山で育った天竜茶
お茶の産地で有名な静岡には天竜という場所があるのはご存知でしょうか?浜松市の近くにあり、川根、掛川、牧之原といった緑茶の産地の近くに所在しています。天竜川の近くの標高の高い寒暖差のある山の中で天竜茶は栽培されています。その天竜で毎年全国茶品評会で一等を獲得し、2008年北海道の洞爺湖サミットで振る舞われたお茶を生産し、黄綬褒賞を授与されたのがカネタ太田園の太田昌孝さんです。まさに日本茶の匠(マイスター)とはこの方のことです。
受賞茶についてお話を伺うと、50度くらいまで温度を下げたお湯を15cc程度を小さじ1杯程度の茶葉に注ぎ、ほぼ色味のない状態で嗜うそうです。茶葉が開いて行く様子も美しく、旨味の深い上品な味わいです。そのお茶を嗜む為に開発された陶の茶器がまた活気的で、お茶の華開く様子が一目瞭然で、お茶の温度を勝手に器が調整してくれるのです。更にカネタ太田園さんのボトルに入ったロイヤルブルーティーはなんと桐箱入りでその価格は33万円という驚きの価格ですが、国内外の富裕層を虜にしています。
カネタ太田園 https://www.kanetaotaen.jp
ロイヤルブルーティー King of Green MASA Super Premium
https://online.royalbluetea.com/?pid=154353287
6.フランスのコンテストで金賞を受賞した狭山茶
更に日本には2018年にフランスのパリで開催されたコンテストで金賞を受賞した狭山茶もあります。早朝に直射日光が射す前に丁寧に1つずつ手詰みされたお茶の温かい風味と奥行きのある旨味は機械で刈られたお茶とは一線を画しています。なんと白瑠(はる)という国産の白茶は6gで540円。ということは、1gあたり90円。ということは100gあたりの価格は9000円のお茶ということになります。
色は薄く殆ど見た目は水のようなお茶ですが、1煎目、2煎目、3煎目と変化していく異なる香りや風味を感じられて洗練された花のような香りにうっとり癒されます。こちらのお茶をご紹介されていた方曰く、1-2煎目を80度のお湯で淹れてから、3煎目をフィルターインボトルで水出しで入れることで最後の最後までお茶を味わうことが出来るそうです。
備前屋 白瑠 https://bizenya.shop-pro.jp/?pid=124114709
ハリオ フィルターインボトル https://www.hario.com/pickup_fib.html
7. Z世代で盛り上がりを見せる現代の国産茶業界
『ジャパンティーフェスティバル2022』には、紅茶、烏龍茶、または烏龍茶と紅茶の絶妙な間を行くものや半発酵の緑茶など未だかつて見たことも味わったこともないような斬新なお茶が並んでいました。また、来場者には若い世代が多かったことにも活気やお茶の未来を感じました。会話が聞こえてくると皆さん、国産の紅茶や日本茶に対する造詣も深いのです。どうやら日本全国の大学に紅茶同好会が存在し、Z世代の若者たちは紅茶を日頃から飲み比べることでその感性を磨いているのですね。力強い未来の助っ人の誕生に将来が楽しみです。お伝えしましたお茶の情報が皆様のお茶選びのご参考となれば嬉しく思います。お読み頂き、ありがとうございました。
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